抑えておきたい3つの情報アーキテクチャ要素

アーキテクチャという概念

情報アーキテクチャ(Information Architecture)とは、情報の視覚化・体系化と考えて話をしていきます。
※本記事では狭義的なWebでの情報アーキテクチャと扱うものとします。

Webデザインは情報アーキテクチャ設計こそが一番基盤となる。この情報アーキテクチャは三つの要素から構成されるとしています。

1)利用者が情報を発見できるようにする。

2)サイト運営者が自分の意図通りに情報を提示できるようにする。

3)サイト内での情報の変化、増減にるクオリティの低下を防ぐ。

※長谷川 敦士氏 『情報の科学と技術』論文(2015)より抜粋
※画像はこちらのサイトから引用

詳しく説明すると以下になります。

1)利用者が情報を発見できるようにする。

ソリューション型と考えてもらえれば分かりやすいでしょう。利用者は何かしら問題をもって訪れてそれを解決するという流れです。

しかし、厄介なのは、WebサイトはSEOの関係で、厖大な情報を心がけます。となると問題も多様化し、ソリューションのページまでたどり着けない利用者が現れる可能性があります。

これらの利用者をしっかりソリューションさせることがアーキテクチャ設計の目的です。ポイントは2つ「誰が」「どういった情報を求めているか」を明示し、設計をしていきます。

2)サイト運営者が自分の意図通りに情報を提示できるようにする。

これは先ほどと変わって、運営サイドで、Webサイトを立ち上げる意図と目的を明確にします。その意義によって、見せたいもの、想定している流動、の優先順位を考え設計していきます。

この2つは、利用者の立場に立って、そして運営者の立場にたって考えるというものです。これらは(1)は比較的考えやすいのですが、サイト運営と製作者が異なる場合にはやはり(2)も重要な考え方と言えます。

3)サイト内での情報の変化、増減にるクオリティの低下を防ぐ。

私は常に「Webサイトはゴーイング・コンサーン(持続的成長)」である言っています。作ったその日、公開したその日から機能はしますが、人が訪れません。利用者の訪問手法がサーチエンジンを主としているため、最初は訪問が少なくなります。

そこで、Webサイト内のコンテンツを充実し、サーチエンジンからの訪問を増やすことになります。コンテンツの充実は即ち、増加・変化につながり、動的コンテンツ、変化をしない静的コンテンツ、やナビゲーションを考えていくのが、Webアーキテクチャです。

 

情報アーキテクチャは上流工程

Webサイトを制作からリリースまでには様々な工程があります。制作に入る前の打ち合わせなどを含めると、会社によって異なりますが、かなりの段取りが必要です。

しかしながら、情報アーキテクチャの考えを用いれば、段取りさえ抑えておけば、あとはアウトソーシングすることもできます。最初に体系化しておくということが重要です。

自社は何を提供するのか、どこまで踏み込むのか、利用者は何を求めるのか、サイトの運営者のスキルはどれくらいか、様々なことを吟味した上で制作に取り組めば効率が良くなります。

段取り8割

制作の現場のサイドから言うと、一度決定したことが変わると言うのはとても無駄な工数が増えます。また現場から上がってきた声で決定が変わったりすることも大変効率が悪いです。

Webでの技術は様々な技術があり、現在では1人でサイトを作れるというものではなくなっています。複数名で取りかかれば、やはりそこには指針が必要となり、誰のためのWebサイトなのか?という原点が失われていきます。

運営者の主導で作るのか、製作者の主導で作るのか、販売者の主導で作るのか、全ては便益をより高めるために作るわけですので、この情報アーキテクチャの指針を多少の時間がかかってでもしっかり定めておくと、結果、作業効率も早くPDCAサイクルも回しやすいと体感しております。

 

結論

色々と書きましたが、Nathan Shedroff氏の情報デザインモデルを紹介して、情報アーキテクチャの概念を終わらせていただきます。

データ → 情報 → 知識 → 知恵

なにやら、流行りのBIGデータのようですが、情報というのはデータから作られております。データは一部の人間(またはAI)でしか共有できません。データを見える化することで情報になります。情報をつなぎ合わせて知識となります。知識を体系化し、未来に使う形が知恵だとすると、結合化・組織化・文脈化の流れが情報アーキテクチャの概念だと言えるでしょう。